【連載企画】岡崎でラリージャパンを楽しもう、盛り上げよう Vol.5

皆さんこんにちは。岡崎市出身のモータースポーツ”カメライター”の青山義明です。

ポルトガルではWRC(世界ラリー選手権)第4戦、そして国内では全日本ラリー選手権第5戦「ラリー丹後2021」が行われシーズンも過熱気味ですが、そのポルトガル戦では、一部で新型コロナウィルス感染者との接触の報告無視や隔離の不履行などでWRC参戦禁止処分が出されたり、まだまだ新型コロナの影響は大いにある状態ですね。今回は、このコーナーのために丹後ラリーでしっかり取材をしてきたので、その内容でお話をしていきましょう。

6月といえばル・マン24時間レース、ですね。今年も新型コロナ感染症の影響で8月21-22日に延期となっています。この24時間レースに臨むチームのひとつ、SRT41の代表フレデリック・ソーセさんは人食いバクテリアによる四肢欠損というトラブルを乗り越え、レース活動を始めた方です。今年のル・マンに障がい者ドライバーを擁したチームで参戦します!

<筆者プロフィール>
1969年生まれ、岡崎市藤川町出身。四半世紀近くフットワーク軽く、国内外のレース取材を積極的に行なっているモータースポーツ・カメライター(フォトジャーナリスト)。ワクチン接種も始まったことがあるのか、制限はあるものの、モータースポーツシーンも少しずつ活発になってきているように見えます。もちろん相変わらず感染者の数が気になって仕方ないですが…。

○全日本ラリーで「ペースノート」を調査してみました

 先日、全日本ラリーの現場で、あるものを見せてもらっていました。あるものというのは「ペースノート」です。これこそラリーで使われている重要なアイテムのひとつです。もちろん全日本だけでなく、世界ラリー選手権(WRC)でも各選手が使用しています。コースの形状や特徴を書き込んだ「ペースノート」はSS(スペシャルステージ)で使用する指示書のようなものです。リエゾン(移動)区間はロードブックのコマ図を使用して移動しますが、SS区間では自分たちが作ったこの「ペースノート」を使用することになります。

 全日本ラリー選手権では「レッキ」と呼ばれる事前試走を各SSで2回ずつ行いますが、このタイミングで各チームは「ペースノート」を作成します。基本的にはドライバーが読み上げたものをコ・ドライバーが書き留め、2回目のレッキでそれを確認。さらに宿に帰ってからレッキ中に撮った車載動画を使ってチェックするということになります。そして本番の走行では、助手席のコ・ドライバーがこのペースノートを読み上げ、それを頼りにドライバーがタイムアタックを行います。ラリーの動画を観ていると、常にコ・ドライバーがペースノートを読み上げているのがわかると思います。

 突然ですが、「ペースノート」って誰のものだと思います? 私も「ペースノート見せてください」って、誰に言うべきか、いつも気になっています。結局書いている人であるコ・ドライバーさんに言うわけですが、コ・ドライバーさんによっては、ドライバーに確認しますってパターンが多いです。というのも、「ペースノート」はドライバーがしゃべったことをそのまま書き留めているから、その内容は「ドライバーの指示書」というイメージですかね。もちろん、そこから2人で詰めていくわけですので、結果的には2人のもの(?)になるのでしょうか? で、競技が終わるとコ・ドライバーさんが保存しているみたいです。

 基本的には、SSのコースのコーナーの種類や大きさ、ストレート部分の長さ、注意すべきポイントなどが書かれています。右コーナーなら「R」(下の写真でみるとわかりますが「ラ」とか「み」と書く人もいます)、コーナーの大きさ(曲率)は数字で表記し、コーナーが長めなら「lg」、短ければ「sh」。さらにコーナーの出口が緩くなるのか、きつくなるのかで「<(オープン)」、「>(タイトゥン)」といった具合です。基本的にコ・ドラが読めればよいので独自の書き込みがあったりもします。

安藤裕一選手(GR YARIS GR4 Rally/ドライバーは眞貝知志選手)のノート。「黒い字はレッキで書き込んだもの、赤い字はレッキ2回目やビデオを見て後で直したところ。四角で囲んだところは、読むタイミングで前を見たり息継ぎをしていると読み遅れちゃうのでひと呼吸で読むっていう自分用のサイン。青い色に際してはSS1回目でドライバーが言ってきたことを書き込んでます」

安藤裕一選手(GR YARIS GR4 Rally/ドライバーは眞貝知志選手)のノート。「黒い字はレッキで書き込んだもの、赤い字はレッキ2回目やビデオを見て後で直したところ。四角で囲んだところは、読むタイミングで前を見たり息継ぎをしていると読み遅れちゃうのでひと呼吸で読むっていう自分用のサイン。青い色に際してはSS1回目でドライバーが言ってきたことを書き込んでます」

安藤裕一選手(GR YARIS GR4 Rally/ドライバーは眞貝知志選手)のノート。「黒い字はレッキで書き込んだもの、赤い字はレッキ2回目やビデオを見て後で直したところ。四角で囲んだところは、読むタイミングで前を見たり息継ぎをしていると読み遅れちゃうのでひと呼吸で読むっていう自分用のサイン。青い色に際してはSS1回目でドライバーが言ってきたことを書き込んでます」


 今回はガズーレーシングの安藤裕一選手にペースノートのことを訊きました。「ロスト(読む場所がわからなくなる)をとにかく防止したい。改行だったり、ページをめくったりするタイミングで通り過ぎちゃったりしてロストすることがあるので、大きなノートだと、ページをめくる回数を減らせるんですよ。あと、文字も大きく書けるので、揺れる車内でも読みやすい、ってことで僕はこのA4サイズのノートをチョイスしています。
ペースノートはドライバーが言ってほしいことを言うためのノートです。基本的には僕の意見は反映させず、僕だけが気付いたことがあったとしても、こういうこと気が付きましたがどうしますか? という提案はしますが、ドライバーが判断します。僕は、清書はしません。書くのが追いつかなくて汚い字になるのは、クルマの車速も上がっていってどんどん読まなければいけない。ゆっくり書けているところは、急いで読まなくてもいいっていう、書いたときの臨場感が文字に出ています。読めないほど汚いのは問題なので、その行だけ書き直しますが、基本的には書いたままです」ということでした。

 ページの最初にSSの概要を書き並べスタート前にドライバーにリマインドとして伝えているのは、保井隆宏選手(ADVAN CUSCO FABIA R5/ドライバーは柳澤宏至選手)。「注意するのは改ページとかですかね。一気にコーナーを読まなければならない時に読むタイミングがずれちゃうくらいならページを全部使わずに次へ飛ばしてます。また、路面状況の変化を後で確認できるようペンの色を変えてます」

「右開きが欲しくて」と田中直哉選手(新井敏弘選手のコ・ドラ)がプロデュース しているA4ノートを使用する東 駿吾選手(ADVAN KTMS GRヤリス/ドライバーは 奴田原文雄選手)。一番最初のページにはSS入る前にやるべきことがメモってあ ります。「清書はしません。写し間違いがあるといけないので。ただ、後で青ペンでコーナーごとにまとめたりという作業はします」

「右開きが欲しくて」と田中直哉選手(新井敏弘選手のコ・ドラ)がプロデュース しているA4ノートを使用する東 駿吾選手(ADVAN KTMS GRヤリス/ドライバーは 奴田原文雄選手)。一番最初のページにはSS入る前にやるべきことがメモってあ ります。「清書はしません。写し間違いがあるといけないので。ただ、後で青ペンでコーナーごとにまとめたりという作業はします」

「右開きが欲しくて」と田中直哉選手(新井敏弘選手のコ・ドラ)がプロデュース しているA4ノートを使用する東 駿吾選手(ADVAN KTMS GRヤリス/ドライバーは 奴田原文雄選手)。一番最初のページにはSS入る前にやるべきことがメモってあ ります。「清書はしません。写し間違いがあるといけないので。ただ、後で青ペンでコーナーごとにまとめたりという作業はします」


 他の選手にもいろいろ聞いて回って写真を撮らせてもらいましたが、その写真を並べてみると、ノートの右開きと左開きの違いや、いろんな情報が書き込まれていたり、速く走るために、それぞれでいろんな工夫がなされています。SSアタック中のペースノートの読み上げも、直後に出てくるコーナーの情報を欲しがるドライバーもいれば、つねにその一つ先のコーナーのことを言ってほしいドライバーもいます。ドライバーのタイミングに合わせて読み上げることも重要だったりします。

「ペースノート」は他のモータースポーツでは見ることのできないアイテムのひとつです。ラリーカーのインカー動画を観る際に、このあたり注意してみるとより楽しめますよ。また、書かれた内容をもっと細かく知りたければいろんなサイトに情報が上がっていますので、そういったサイトを見てみることをお勧めします。

JN-2クラスに参戦している行徳聡選手(DL SYMS R-ART 86 R3/ドライバーは中平 勝也選手)は、ひと回り小さめのペースノートを自作。「元々普通のルーズリーフ のノートでやっていたので、サイズはそのままB5のものを自作してます。太めの 鉛筆で書いて、修正は消しゴムで消して書き直して、と他の色は使いません。SS中とか後から言われたことは上に書いたりチェックを入れたりしてサービス中に直したりします」

JN-2クラスに参戦している行徳聡選手(DL SYMS R-ART 86 R3/ドライバーは中平 勝也選手)は、ひと回り小さめのペースノートを自作。「元々普通のルーズリーフ のノートでやっていたので、サイズはそのままB5のものを自作してます。太めの 鉛筆で書いて、修正は消しゴムで消して書き直して、と他の色は使いません。SS中とか後から言われたことは上に書いたりチェックを入れたりしてサービス中に直したりします」

JN-2クラスに参戦している行徳聡選手(DL SYMS R-ART 86 R3/ドライバーは中平 勝也選手)は、ひと回り小さめのペースノートを自作。「元々普通のルーズリーフ のノートでやっていたので、サイズはそのままB5のものを自作してます。太めの 鉛筆で書いて、修正は消しゴムで消して書き直して、と他の色は使いません。SS中とか後から言われたことは上に書いたりチェックを入れたりしてサービス中に直したりします」


篭田公園でのラリージャパン1年前イベントのステージトークショーのMCも担当し てくれた槻島もも選手(CAST RACINGマルトクハイエース/ドライバーは国沢光宏選 手)は「グラベルラリーでも見やすいものを、ということで、意識して大きめに書いています」

篭田公園でのラリージャパン1年前イベントのステージトークショーのMCも担当し てくれた槻島もも選手(CAST RACINGマルトクハイエース/ドライバーは国沢光宏選 手)は「グラベルラリーでも見やすいものを、ということで、意識して大きめに書いています」


「オカザえもん」を背負ったトヨタ86のラリーカーといえば内田園美選手&山村浩 三選手(オカザえもんRシンボリBS86)。ドライバーとコ・ドラを交互に担当 し合うこともあるこのペアですので、このペースノートも途中までは内田選手書いたとか…。「いろんなドライバーとペアを組むと、速く走ることのできるペースノートってのがわかります」と。

「オカザえもん」を背負ったトヨタ86のラリーカーといえば内田園美選手&山村浩 三選手(オカザえもんRシンボリBS86)。ドライバーとコ・ドラを交互に担当 し合うこともあるこのペアですので、このペースノートも途中までは内田選手書いたとか…。「いろんなドライバーとペアを組むと、速く走ることのできるペースノートってのがわかります」と。

「オカザえもん」を背負ったトヨタ86のラリーカーといえば内田園美選手&山村浩 三選手(オカザえもんRシンボリBS86)。ドライバーとコ・ドラを交互に担当 し合うこともあるこのペアですので、このペースノートも途中までは内田選手書いたとか…。「いろんなドライバーとペアを組むと、速く走ることのできるペースノートってのがわかります」と。

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